kenichitのブログ

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【書評】Scaling Teams 開発チーム 組織と人の成長戦略

 スタートアップがスケールするためには様々な障害を乗り越えなければいけない、ということは分かっていても、それらが具体的にどのようなことで、どう解決すべきかを理解するのは容易いことではありません。本書は、組織のスケーリングをテーマに、どのように組織を設計するかの一つのフレームワークとして書かれています。

 内容としては、採用プロセス自体のスケーリングをどのように行うか、面接・採用・リファレンスチェックからオンボーディング、キャアリア形成までの人材の雇用という観点から見た内容と、管理者の雇用、チーム体制、チームの士気から組織文化までの組織形成という観点からの内容とで、網羅的になっています。
 
 私個人として興味深く感じたのは、「チームの態勢固めに最も効果的でシンプルな方法は『今後、起こるかもしれないと予期しておくべきことをチームメンバーと話し合う』だ」と指摘している点です。急成長中のチームはプロダクトや顧客に注意が行くため、チームの士気を高く保つのが実は難しい状況に置かれます。これを自主的に回避するための方法をとして「チームで組織リスクを(腹を割って)話し合う」という手段を取ることを推奨しています。これはメンバー権限を委譲し責任を負うベンチャーならではの施策であると言えます。

 本書の全ての施策をそのまま使える、というものではありませんが、ベンチャーPMFのフェーズを抜けて拡大する際に、取りえる施策として取り込むことができるアイディアに詰まった一冊でした。